コウヤの事件から数ヶ月、大津名市は平和になった。

この事件を解決した火者達も普段は一介の学生である。

今回はそんな彼らの日常を少し覗いて見ることにしよう。














































































ここは桜水台学園。

この学園にある天文部の部室で、


「亮君、一緒に訓練しない?」


こんなやり取りが行われていた。
























































ある天文部の一週間 第一話「いずみのドキドキ月曜日」
「いずみさん、今日はどうしたんですか?」 現天文部部長であり、私の想い人でもある亮君はそのように答えた。 今は放課後だけど、まだ早い時間なので部室には私と亮君しかいない。 「今日は大学の講義が午前中だけだったから…」 私は今日来た理由を答えた。 「いや、そうではなくて…」 しかしそれは亮君の望む答えではなかったみたい。 でも… (亮君に会いに来たなんて恥ずかしくていえない…) 私は心の中でそう思った。 亮君の事は好きだけど、まだ口にする自信が無い。 ということで、 「久しぶりにみんなと訓練しようと思って」 と答えた。 「そうですか。でも今日はみんな来ませんよ」 「みんなどうしたの?」 「鏡花はモデルの仕事、真言美ちゃんは俳優養成学校、 祁答院はキララと買い物、モモは彼女とデートです」 「亮君はどうしたの?」 「俺は部室に忘れ物をしたから取りに来たんですよ」 「これからどうするの?」 「俺は少し訓練してから帰ろうかと…」 「それじゃあ、私と一緒に訓練しない?」 「いいですよ」 このようなやり取りをしながら、心の中で私は自分の幸運を喜んでいた。 (亮君と二人きり……) これはみんなに差をつけるチャンス。 私だけじゃなく、鏡花ちゃんも、三輪坂さんも、マコトも、亮君の事が好きみたいだから… 鏡花ちゃんみたいにスタイルがいいわけじゃない。 三輪坂さんみたいに場を明るくできるわけじゃない。 マコトみたいにかっこいいわけじゃない。 でも… 私を好きになって欲しい… 私を一番に考えて欲しい… その為にも… この機会を活かしたい…… こんな事を考えながら、亮君と学校の裏庭に向かった。 「今日はここまでにしよう」 「そうですね」 「喉が渇いたね」 「じゃあ俺、買ってきます」 裏庭で訓練をする事一時間、私達は訓練を終わりにした。 亮君は初めの頃に比べ、別人のように強くなった。 今では、私は本気の彼に勝てないだろう。 でも… (亮君に守ってもらうお姫様役もいいかも……) と少し思ったりもする。 そんなとりとめのない事を考えていると、 「いずみさん、買って来ました。」 亮君が帰ってきた。 「うん、ありがとう」 「確か、砂糖抜きのコーヒーでいいですよね」 「ばっちりだよ」 その後、二人並んで座って飲み物を飲んだ。 「おいしいね」 「そうですね」 「学校はどう?」 「どうしたんですか?」 「いいから」 「そうですね…」 私達は飲み物を飲みながら普段の事をお互いに話した。 私にとっての当たり前… 亮君にとっての当たり前… でも、他人から見たら当たり前ではない… この何気ない会話から… 私は亮君が何を考え、何をしているのかが知りたい… そして… 亮君に私が何を考え、何をしているのかを知ってもらいたい… (あっ、そういえば……) 「亮君、お腹すいてない?」 「う〜ん、少しすいてますね」 「だったらこれ食べてみてくれない?」 そう言って私はお弁当箱を渡した。 今日の目的… みんなと訓練するというのも目的の一つ… でも… 一番の目的は… 訓練で疲れた亮君に手作りお弁当を食べてもらってもっと親密になろう!! という事だった… (危ない、危ない。忘れるところだった) こんな機会は滅多に無い。 亮君と二人きりになって舞いあがっていたのか、 本来の目的を忘れるところだった。 私もまだまだ修行が足りないみたい。 (もっとがんばらないと。) そんなことを考えていると、 「いただきます」 という返事が返ってきた。 それで私はお弁当を亮君に渡した。 今回のお弁当はいつも以上に自信がある。 愛情もたっぷり。 きっと気に入ってくれるはず。 ドキドキしながら亮君がお弁当を開ける所を見ていた。 「………情熱的な色ですね」 お弁当のふたを開け、中を見た亮君の一言目はそれだった。 「そう?」 「多分……」 亮君の様子が変。 (もしかして…亮君の嫌いなものがあるのかな) もしそうだったらいけないので、 「亮君、嫌いなものでもあった?」 と聞いてみた。 すると、亮君は慌てて 「そんなことありませんよ!!」 と答えた。 「でも、様子が変だよ。本当は食べたくないんじゃ…」 「いただきます!!」 私の言葉を遮るように亮君が大声で叫んだ。 そして、お弁当のおかずを口の中に… 入れたとおもったら顔色が赤くなったり青くなったりして気絶した… 「亮君、亮君、しっかりして!!」 私は慌てて亮君を介抱した。 そして私も亮君が食べたおかずを食べてみる。 亮君が食べたのはエビチリで、今回のは自信作だった。 「ん〜、ピリ辛でおいしいのに…」 なぜこれを食べて気絶したのか私にはわからなかった。 でも亮君が気絶したのは事実。 理由はわからなくても介抱しないといけないのも事実。 ということで亮君を横にする事にした。 横にするのはいいが、頭の下に敷くものがなかった。 (恥ずかしいけど…誰も見てないし、亮君が心配だから…) そう思いながら私は亮君に膝枕をした。 初めて好きな人に膝枕をしたが、なんとも幸せな気分だった。 膝にかかる好きな人の体重が心地よく、 心の中は温かい気持ちで一杯だった。 亮君を見ている私の顔はきっと微笑んでいるだろう。 (こんなのもいいかも…) そんな事を考えながら、亮君が気が付くまで穏やかな時間を過ごした。 でも、いい事ばかり続くほど世の中は甘くなかった。 それ以来、亮君は私のお弁当を食べてくれなくなった… なんでもあの時きれいなお花畑を見たとか見ないとか… 結局は作戦は失敗に終わった… 残念…
あとがき こんにちは、怠け者SS作家のおもちです。 今回はアリスソフトの「夜が来る」のSSです。 このゲームは自分の中で一番のお気に入りのものであり、一度書いてみたいと思っていました。 あまりおもしろくなかったかもしれませんが、努力していきたいと思います。 これからもよろしくお願いします。


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