時をこえる思い 第十八話 龍牙作

「みんなでたのしく」 









「あははーっ、一弥も舞もかわいいね〜」

「うんうん、ずっとギュッて抱きしめていたいくらい」

「お、おねえちゃん」

「さ、幸、恥ずかしいから……その」

「あははーっ、恥ずかしがっている二人はさらに可愛いですね〜」

「うんうん」

「……んっ」

「〜〜〜」


 佐祐理と幸が、一弥と舞に頬擦りしたり抱きしめ始めたりしてから数十分が経っている。

 しかし、相変わらず佐祐理と幸は両側から一弥と舞に抱きついているのであった。

 抱きしめている側の二人はとっても上機嫌。

 抱きしめられている側の二人は、恥ずかしさは多少あるものの、自分を大切に思ってくれる人のぬくもりは大好きなので嫌とも言えずに困っていた。

 尤も、今年で四歳である一弥は、年齢の幼さとこれまでのことから、ちょっとくすぐったそうにしながらも素直に喜んでいる面も強かった。

 舞も二年前までのことを考えると複雑ではあるが、もう今年で十歳であるので、やはり一弥よりは恥ずかしいと思う気持ちが強そうである。

 
「やれやれ……まあ、うれしそうだからいいんだけどな」

「くすくす……でも、祐一さんもとてもうれしそうですね」

「えっと……あはは」

(クスッ、祐一さん、あまり我慢はいけませんよ)

 
 そして、祐一はというと、幸たちの様子に少し呆れながらも、彼女たちの様子をうれしそうに見つめていた。

 先ほどまでは廊下で待っていた秋子も、今は祐一の隣で一緒に微笑んでいる。


 どうやら、佐祐理たちはしばらくあのままだろうと、祐一は秋子と名雪を病室に招き入れていたようである。

 その際、ちょっと四人から離れるのがもったいないような気持ちはあった祐一なのだが、その複雑な気持ちは少し表に出ていたらしい。

 嬉しそうな様子とは別に、祐一は少し落ち着かないような様子も見せていたのである。

 そんな祐一を不思議に思ったのか、名雪は秋子と祐一の会話には参加せず、何か考え事をしていた。

 秋子はそんな娘を、祐一との会話の合間に穏やかに見守っている。

 どうやら、名雪の言葉を皮切りに、祐一の心を解きほぐすために、ちょっと悪戯をしてしまいましょうかと考えているようである。
 
 さて、そんな母の思惑は知らないわけだが、母と共同で祐一を嵌めることになる名雪が動く時が来たようだ。

 名雪は祐一の肩をちょっと叩いてから、思いついたことを口にするのであった。


「ね、祐一。……もしかして、祐一も抱きしめてほしいのかな?」

「な!? ば、馬鹿言うな!」


 唐突ながら、しかし、いつもながら的はしっかりと射てくれる自分のいとこ殿の発言に、祐一は心底慌てている。

 自分の中の幼い部分は、佐祐理たちの輪をちょっとだけうらやましく思っているのは事実だった。

 しかし、祐一も一弥ほどに年齢は幼くないので、ちょっとうらやましいかなという些細な程度のことのはずではあった。

 だが、祐一の中の大人の部分が、そのささやかな気持ちを見抜かれたことに、過敏に反応してしまったのが今回の困ったところ。

 一葉にだっこされたときとは違い、素直になりきれなかったことが返って仇となり、大きな動揺を誘ってしまったのだった。


「あ、祐一、顔真っ赤だよっ? やっぱり…」

「え、え〜い、そんなことを言う口はこの口か!」

「いひゃいよ〜〜ゆういひ〜」

「あらあら、喧嘩しちゃ駄目よ、でも祐一さん、名雪の言うとおり実はうらやましいんじゃないですか?」

「そ、そんなことは…」

「うーん……名雪、ちょっといらっしゃい」

「うん、わかってるよ、お母さん」


 祐一の行動を制しながら、さらっと祐一を追い詰める秋子さん。

 そうやって祐一を崖っぷちに立たせたところで、ちょっと考えた後、にっこりとしながら娘さんに微笑みかける。

 なんとなく母の意図がわかったらしい娘さんは、少し恥ずかしそうにしながらもしっかりと頷いている。

 この夏、祐一とはまだ遊べていなかったので、ちょっと寂しかったこともあり、いつもより素直な気持ちの御様子。

 本当に崖っぷちに立たされたような心持ちの少年は、渇いた喉ながら何とか声を搾り出して尋ねる。


「あの……お二人とも何をたくらんでいるので……?」

「多分、祐一さんの考えている通りです」

「そういうこと、だよっ」

「いや、ちょ――」

「えいっ!」

「うふふ」

「――うぐぅ」


 そして、娘さんは少年に抱きつき、その母親は二人を包み込む。

 結果、この病室には二つのぬくもりの輪が出来たのでした。

 少年は、またどこかの誰かさんみたいに困ったようにつぶやいていた。




「祐一さんも、まだ、もう少し甘えていい時期なんですからね」

「うぅ……はいです」

「……てへっ」


 祐一の一歩先をいくという点では、一葉と同じようなことをした秋子。

 しかし、秋子は一葉とは違った形――穏やかな優しさでもって、祐一をあたたかく支えてくれる。

 母のような傍若無人さがないだけに、逆に祐一はどう答えたらいいかわからず、その外見どおりの年齢――あるいは、少し下がりすぎたかしたか――のようにただ素直に頷くのであった。

 名雪は普段見れないような祐一の姿を見れて、なんだか得した気分だった。

 それに、恥ずかしくて普段は出来なかったけれど、ずっと好きであった男の子に抱きつくことが出来たのは至福の心持ち。

 正直に言えば、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけれど、何とかそこは必死に考えないように努力している様子。

 秋子は、そんな娘を微笑ましく思いながらも、不安をまだまだ感じさせる祐一には穏やかな眼差しをずっと向け続けるのだった。











「はぇ〜……すいません、秋子さん、ご挨拶が遅れてしまいました」

「うふふ、楽しそうだったし、気にしなくていいのよ、佐祐理ちゃん」


 さて、しばらくあたたかい二つの輪の時間が続いたが、ようやく佐祐理や幸も満足したらしく、秋子たちの訪問に気づいてくれたようである。

 秋子の計らいか、佐祐理たちが秋子や名雪に気づく前に、水瀬サイドの抱擁の時間は幕を下ろしていた。

 せっかくの佐祐理たちの楽しい時間と自分たちの楽しい時間。

 秋子としても、騒動を起こして余韻に浸る時間をなくしたくはなかったようだ。

 舞たちに先ほどの光景を気づかれていたら、本当に穴を掘って入っていただろうと思った祐一は心底感謝している様子。

 ただ――


「……う〜ん、どったの? 祐一」

「な、なんでもないぞ」

「……祐一のいとこさんだったかな? 顔赤いけど、どうしたの?」

「な、なんでもないです」


 ――お互いの構図を思い返すと、短時間のこととは言え、祐一と名雪はやっぱり顔が赤くなってしまっていた。

 それぞれ幸と舞にその様子を不思議に思われており、結局困った状況にはなっている祐一なのであった。 

 
「そ、そういえば、自己紹介とかまだちゃんとやっていなかったよな?」

「怪しい…」

「可愛い……」

「あ、あの、そ、その」


 明らかに不自然な様子の祐一を幸は訝しげに見つめる。

 なお、名雪の方はただ赤くなってしまっているので、相手をしていた舞にはなんとなく可愛いと思われてしまったようだ。

 名雪は舞に頭を撫でられている。

 特に嫌でもないので、名雪は舞のなすがままに恥ずかしがっている。

 しかし、祐一の相手は幸。

 見たところ、少々分が悪そうであるが、祐一はとにかく誤魔化そうと態勢を整える。


「な、なにをおっしゃるかなウサギさん」

「今日はあたし、あのカチューシャはつけていないよ、祐一?」

「はっはっは、これは失礼しましたな、幸せの妖精の幸さん」

「むー、なんだかごまかされてる気がするなあ」

「まあまあ、幸ちゃん、そのくらいにしてあげてね」


 形勢不利なようであっても、どこまでもマイペースを保とうとする祐一。

 こうなってくると祐一のことを多少なりとも知っている幸としては、ますます怪しい気がしてくる。

 さて、どうやって切り崩してみせようかと、幸の心には闘志にも似た思いが浮上してきたが、やんわりと秋子の止めが入った。

 ここに一葉がいなかったことは、祐一にとっては幸運と言えよう。

 尤も秋子とて、一葉のように祐一の反応を楽しむ事も好きではある。

 しかしながら時と場合を選び、また、娘同様、皆仲良く穏やかにという性格であるから、多くの人から好かれる。

 そうである分……ここぞと言うときは強力なポジションもとるわけだが。

 祐一もそんな最も頼れる人に助けてもらって内心安堵しながら、このまま話題が変わっていくことを望んでいるのだった。

 ただ、この人とて頼れる存在がなくてはいけないと、祐一は後々痛感することになるのだが、それはまだかなり先の話。

 だが少なくとも今、ここにいる子ども達にとっては、名雪以外にとっても秋子は大好きな優しいお母さん的存在であるため、幸も秋子の言葉に頷くつもりのようである。

 

「んーー秋子さんがそういうなら……」

「ありがとう、幸ちゃん。それはそうと、自己紹介は確かにいりそうよね。でも、わたしは皆のお家にお邪魔したことがあるから、特にいらないかしら……? そうね、名雪から紹介したらいいと思うわ」

「うん、お母さん、えっと…初めまして、祐一のいとこで水瀬名雪です。皆さんよろしくお願いします」

「やあ、初めまして、名雪さん、俺は相沢――」

「うー、祐一とはもうずっと前からあってるもん」

「え〜と、祐一のことは放って置こう、え〜と名雪でいいかな? あたしは、川澄 幸、どう呼んでくれてもいいよ」

「あたしは川澄 舞。あたしも名雪でいいかな? あたしのことは幸と同じように、どう呼んでくれてもいいよ」

「倉田佐祐理です。わたしは名雪さんでいいでしょうか? わたしのこともどう呼んで下さっても構いませんから」

「倉田一弥です。名雪さんでいいでしょうか? ぼくもすきなようによんでください」

「うんっと……わたしも好きに呼んでくれていいです。わたしは、幸さん、舞さん、佐祐理さん、一弥くんと呼びますね」

「あ、そういえば、あたし、一弥くんとはちゃんと自己紹介してなかったね、一弥くんでいいかな?」

「はい、あの…ぼくは幸ねえさんでいいでしょうか? それと、舞ねえさんで」

「てへへ〜〜もっちろんOK♪」

「なんだか不思議な感じ……でも嫌じゃない。うん、いいよ、一弥くん。ちなみにあたしも幸と同じように呼ぶね」

「はい」

「一弥くん、いっぱいお姉さんがいていいね♪」

「あ、はい……あの……」

「あ、うんっと、さっきの様子見てて、一弥くんにとって、舞さんと幸さんが特別だってなんとなくわかるから、わたしのことは気にしなくていいよ〜」

「はい、名雪さん…」

「うー、でもちょっと寂しいかも」

「ええと…」

「クスッ、大丈夫、冗談、だよっ」

「……あはは」

「む〜、やっぱり祐一のいとこさんなんだね、ちょっと今祐一に似てたよ、名雪」

「うー、喜んでいいのか、悲しんでいいのか、わからないよ…」

「あはは」







「クスッ、やはり、皆いい子ですね。すぐ仲良くなれました」

「――くすん……」



 和気藹々と子どもたちは仲良くなっていった。

 ちょっと外から見ると、頭の整理がおっつかなくなりそうなくらいすぐ仲良くなっていくのだった。

 そんな子ども達が微笑ましくて、秋子は上機嫌に微笑みながら子どもたちを見守っている。

 さて、それはそれとして、終始、蚊帳の外な祐一。

 勝手に自分を話題としては使われているだけにその哀愁も一入。

 余計なことは言わなければ良かったと思っても後の祭り。

 空調は体に適した設定なはずなのに……祐一だけはどこか風を冷たく感じているのだった。







「あの……秋子さん」

「あら? 一弥くん、どうかしたの?」

「その……ありがとうございました」

「幼稚園の時のこと? ふふ、気にしなくいいのよ」

「でも…ぼく、あの時お礼いえなかったから……」

「クスッ、でも今ちゃんともらったからね」

「はい……」


 しばらくして、流石に祐一をかわいそうに思った秋子が祐一を元気付けて調子を取り戻させ、他の子ども達も一通りの会話を交わし終わり、みんな一息ついていた。

 そんな中、秋子に向かって一弥はおずおずとしながらお礼を言い始めた。

 秋子は和やかに一弥の気持ちを受け取っている。


「………」


 そんな光景を祐一は少し驚いたような、それでいて次第に儚さを含んでいるようなものに表情を変えていきながらみつめていた。

 祐一は、普段言葉遣いの丁寧な秋子が、親身になって口調を崩しているさまを見ていると、以前指摘されたように敬語で会話を交わすことに慣れている彼としては、先ほどからずっと少し不思議な印象を受けていた。

 もちろん名雪と秋子の会話も見慣れている祐一としては、本当のところ、特に珍しいわけではない。

 けれど、逆に名雪以外の子どもを相手にしている姿だからこそ、新鮮なのかなと思いながら祐一はふともう一人、二人――自分の次に秋子の新しい家族となった少女のことを思い出す。

 特にその一人――沢渡真琴、彼女が自分に悪戯を仕掛けて惨敗に終わらせた後、秋子に諭されていた姿、プリクラの前での本当の親子として過ごしたあの時のことを祐一は思い出していた。

 今の祐一にとってはかけがえのない思い出。

 その思い出が思考を支配して、祐一はしばらく言葉が頭の中に何も浮かんでこないようだった。



「はぇ? どういうことですか、秋子さん?」

「佐祐理ちゃん、それはね――」


 祐一がそんな状態の中、佐祐理は秋子に質問する。

 一弥と秋子、それに祐一以外は事情がよくわからなかったので秋子たちの会話にあっけにとられていたのだ。

 そんな子どもたちを代表したような佐祐理の質問に、秋子はその疑問ももっともだと説明していく。

 昨年の冬、祐一に協力を頼まれた後、秋子は一弥の通っていた幼稚園のお手伝いを始めていたのである。

 児童虐待ですら解決は難しいことはよく知られているのだから、必ずしも間違いとは言えない一弥の状況を考えると、せめて彼の負担を軽減するために幼稚園で出来ることは何であろうかと考えた結果、こうすることにしたのである。

 尤も、秋子も自分の仕事は別にあり、また世話をするのは当然一弥だけではあってはならないので、いじめそのものを完全に根絶することは不可能だった。

 だが、何度かはそれとなく助けることも出来、また、一弥の体調を直に見極めることで、本来より早く的確に一弥の入院が行えるように裏で働きかけることが出来たのも、秋子のおかげと言えた。


(本当に……助かりました。秋子さん)


 少し心ここにあらずと言えるような状態だった祐一も、秋子が佐祐理たちに幼稚園での話を説明している間に気分は落ち着き、本当に秋子に感謝していた。

 自分の知る佐祐理は、一弥が死んだのは自分のせいだと言っていたが、祐一はそうだとは思っていない。

 佐祐理は確かに一弥と最後は心を通わせることが出来たのだから。

 冷静に厳しく見れば、長く心の邂逅が果たせなかった月日の負担が大きかったとも言えようが、元々一弥の病弱な体質の持つ意味も大きかっただろう。

 心の負担の問題の解決だけで解決するはずのことではなかったと、祐一は思う。

 だから、一弥と佐祐理の心だけでなく、一弥自身の体のことも祐一は考える必要があった。

 その為には、今回の手段と重なっていた入院の時期を誤るわけにはいかなかった。

 栞とは違い、何か特定の病気にかかっているわけではなく、またまだ幼いのだから、しっかりと構えて療養に努めること。

 時の間での、この場合は学習というべきか、その中で祐一の判断がこれだった。

 最悪の場合の秘術については、以前も祐一が考えていたように問題がある。

 昨年の冬感じたように、ある意味恐ろしいことを行っている自分への不安と、成功させることが出来るかどうかそれ自体への不安。

 それらを抱えていた祐一にとって、秋子が行ってくれたことは感謝してもしたりないくらいの助けとなっていたわけである。

 

 さて、祐一の感謝は、一弥の入院を効果的なものにしてくれたという裏事情ともいえるようなものに向いているわけだが、一弥自身が感謝していることはそれとなく助けてもらったことについてである。

 なので祐一の心以外の話の流れは、当然そちらが話題となっている。

 簡単にその時のことをまとめると、何もしゃべらない一弥を変だと思って突っかかってくる子たちの興味を、やんわりと違うもの――食事やお遊戯――に秋子は一弥が苦しまないうちに向けていったのである。

 直接一弥だけと接する機会は、新米兼ボランティアな立場の秋子には難しいことであったし、無理にそうしようとすると返って一弥と他の子達との不和すらも招きかねない。

 この辺りの調節は難しいところなわけだが、秋子はまずまずの成果を上げてくれたようだ。

 以上のような経過なので、秋子が直接助けたというわけでもなかったのだが、一弥にとって、秋子の存在は助けになっていたことは変わりなく、言葉はなくと も心では敏感なものも持っていた一弥としては、感謝の気持ちを秋子に持っていたわけであり、その気持ちを今伝えていたというわけである。


「そうでしたか……秋子さん、ありがとうございました」

「いえ。あ、でもお礼なら祐一さんに言ってね。わたしは頼まれただけ。それにこれから姉弟仲良く暮らしてくれればいいのよ」

「本当に……ありがとうございます。秋子さん。祐一くん」


 佐祐理は深くお辞儀をしながら、御礼を述べる。

 自分が心の矛盾を抱え、優しくしてあげることが出来なかったあの時期に、一弥の負担を軽減してくれた人がいたことは、佐祐理を感謝してもし足りないくらいの気持ちにさせていた。

 それは同時に、今では自分が過ちと感じてしまっている一弥への接し方をとっていた自分への罪の意識が、自分の心を傷つける思考に佐祐理をいざなってしまうということでもある。

 そのことを見越し、秋子はあたたかな口調と表情で、佐祐理のその過去の断罪への思考を止めさせ、これからに目を向けるように諭している。

 祐一も秋子と同じように、佐祐理を優しい表情でみつめていた。

 この二人の優しさに、佐祐理はとても感じいった。

 そして、昨日のこと、さらには今聞いた幼稚園での話、祐一たちがしてくれたことはどんなものであるのか、その意味が一つ一つ佐祐理の心には染み渡り、溢れる気持ちが涙となって溢れ出してしまいそうなくらいに感謝の気持ちで一杯になっていた。





「佐祐理の言う通り、本当に、あなた方にはお世話になりっぱなしですな……。いずれ、恩返しを嫌と言われてもさせていただきますから」

「わたしも…本当に感謝しています。わたしは母親として至らぬことが……」

「悔いることはいつでも出来ますから、これからのことを考えていったほうがいいですよ。佐理奈さん」

「……そう、ですね」


「……お父様? お母様? それに――」

「ずいぶん早かったな。母さん」


 佐祐理が涙が出そうで、言葉に詰まり始めたころ、一弥の病室に三人の大人が現れた。

 その内二人――倉田夫妻は、病室のドアをノックをしようとしたところで、佐祐理たちの会話が聞こえてきたため、佐祐理と同じような心持ちになり、その上で自然に今の言葉を口にしてしまったようである。

 そうして足を止めてしまった二人を穏やかに見つめながら、一緒に病室に訪れたもう一人の大人――相沢一葉は、そっと開け始めていたドアを開けながら二人を中へと促す。

 自然に病室に入れたほうがこの場合はいいだろうと思っての行動だった。

 そんな両親の突然の登場に佐祐理は――自分と同じような心持ちの様子の二人への感情移入と自身が言葉に詰まっていたことの影響から大きく反応は出来なかったが――かなり驚いていた。

 両親は残念ながら昨日の午後から今日にかけて仕事が入っていたはずなので、こんなに早く来てくれるとは思ってなかったからである。

 早めに片付けてくるからと、その言葉だけでも佐祐理には嬉しい言葉はもらっていたのだが、そう簡単にはいかないのだろうなと佐祐理は半ばあきらめていたのだから、その驚きも当然だろう。

 一弥を始めたとした子どもたちも、倉田夫妻の突然の登場は驚いていた。

 だけど、佐祐理や倉田夫妻の雰囲気にのまれてしまっているのか、おとなしくしている。

 唯一子どもたちの中で落ち着いている祐一は、言葉が上手く浮かんで来そうにない佐祐理の代わりに話を進めようと、一葉に声をかける。

 佐祐理と倉田夫妻の気持ちが自然に通じ合うような登場となしてくれた母に感謝しながら、でも、今日は明るく過ごそうと言う気持ちもあるので、大切なこの時間は今回は程ほどにと思ったようだ。

 ちなみに、かけた声にはついでに質問も混ぜている。

 何とかならないかと相談したのは自分であるが、祐一としてもこんなに早く来てもらえるとは実は思っていなかったのだ。


「ふふ、もちろんよ。あたしも本気を出したからね。今日の倉田さんの仕事は全部昨日と今でおわしてきたわ」

「母さん、あんた何もんだよ……?」

「もう、祐ちゃん、お母さんにあんたはないっしょ」

「いや、でもな……母さん」

「母さん、すごいっしょ♪」

「た、確かにそうだが」

「うふふ、このくらいは朝飯前よ♪」

「あらあら」

(……た、助けて)


 にっこりわくわくな母の表情に気圧されながら、汗をかきながら祐一は困ったように声を出している。

 そんな祐一を面白そうに見つめながら、マイペースに会話を進めて一葉は楽しんでいる。

 その傍らで、なぜか秋子も楽しそうに微笑んでいる。

 まだ自分では太刀打ちできないこの姉妹のダッグを、成り行きで相手にすることになった祐一は、昨年のことを思い出しながら泣きそうになっていた。


 祐一は自然にであろうが、お母さん姉妹は恐らく……皆の雰囲気が明るくなるよう内心図っているのではないかとさえ思えるのだが、とにかくこの三人のやり取りのために、病室の雰囲気は変わり始めていた。

 独特な三人のその雰囲気で、冬弥と佐理奈は緊張を解かれたのか、ふっと表情を崩して会話に参加し始める。


「ははは……しかし確かに恐れ入りました、相沢さん。あんなにスムーズにことが運ぶとは…今でも信じられません」

「相手方が最初から全て納得していたかのようでしたものね…」

「………」


 しきりに感心している冬弥と佐理奈の話を聞いた祐一は絶句している。

 自分の母の謎がどんどん深まっていくのが、そこはかとなく怖くなってきている祐一であった。


「クスッ、そう思っていただけたなら、私も頑張った甲斐がありますわ」

「私などよりもよっぽど政治家に向いてらっしゃるのでは?」

「いえ、私にも本当にやりたいことが別にありますから……でも、参考になったようでよかったですわ。手伝えるのは今回だけでしょうから」

「もちろん、参考にします。かなり惜しいですが…これ以上お世話になったらいつ全部恩を返せるかわかりませんしね」

「ふふ、夫の言うとおりです。それに…わたしたちも自分たちの手で、この子たちとの時間を手に入れたいです」

「お母様……」

「母様……」


 佐祐理は、母の優しい微笑みと言葉を、久しぶりに見て聞いたのではないかと思いながら、心の底から嬉しく思った。

 そして、一弥は生まれたときは感じたのかもしれないけれど、今まで知らなかった母の優しさをとても心地よく思いながら母を見つめていた。

 昨日知った、今ではとても大好きな姉の笑顔と優しさと同じものを、母にも感じることができた。

 本来いるはずの場所に戻ってこれたかのように、一弥の表情は安らいでいるのだった。



(……はは、母さんには、敵わないな)


 先ほど絶句した理由もそうだったが、それよりも、昨日あれほど落ち込んでいた夫妻にここまで言わせるように仕向けた人物であろう母に、祐一は心底感服している。

 自分ひとりではここまで上手くいかなかっただろう。

 これから先の道で、自分ももっと母に近づけるように頑張れるのか、いつもは困らせてくれる母だけれど、今は素直に祐一は母を尊敬するのだった。


 確かにいろいろな意味で祐一が適わないと思うのも致し方ないこと。

 けれど、佐祐理たちの家族を実際に結びつけたのは紛れもなく祐一自身。

 そして、そのことに驚き感心している一番の人物は今、祐一が尊敬している彼の母である。

 また、一葉も頑張れる理由があるから頑張れる。

 敵わぬと感じた母のことを、本当に理解したとき、祐一はどんな思いを抱くのであろうか……。

 















 けれど、時が満ちるのはまだ先。

 今というときは、距離の縮まった家族とこの部屋に存在する絆が深まりあっていくときである。

 子どもたちも大人たちも楽しげに言葉を交わしていく、そんなとき。

 そんなときの流れに、過去から再び始まった物語の担い手のもう一人も加わっていく。



「にぎやかですね」

「「お母さん!?」」

「ふふ、お母さんだけ除け者はいやよ、舞、幸」

「はちみつクマさん…」

「うん!」


 舞と幸、二人のとても大切な人――母である真弥。

 みんなでたのしく……この輪がもっと広がっていくことこそ、祐一のゆずれない願い。




「初めての方は初めまして。舞と幸の母、川澄真弥といいます。今回は水瀬さんとの合作をお持ちしましたから、皆さんで食べてください。健康に配慮したゼリーですから、一弥くんも食べられますよ」

「わあ〜ありがとうございます」

(これで今のみんながそろったんだな……ふふ、しかしまあ、この部屋が広くて助かったよ)


 祐一は心と知識にあるいろんな迷いを内に秘めながらも、この時間を過ごすことができることが本当に嬉しい様子だった。

 そんな思いの中、願いをかなえる場となってくれたこの部屋に思いをはせる。

 昨日の午後の検査の後、一弥は病室を変えた。

 親しいものと過ごすことで心のケアをという計らいで、今いる人数が入れるくらいのスペースで、佐祐理が泊まれるような部屋へと移ったのである。

 祐一自身の望みもあったが、一弥や佐祐理にもみんなで過ごすことの楽しさを知ってもらいたかった祐一にとってはとても都合のいい手配だったので助かったわけである。

 


「おいしい〜」

「こんなおいしいゼリーは初めてですな」

「これは負けますね。後で作り方を教えていただけますか?」

「ええ、かまいませんよ」

「なんだか、主婦としての自信をなくすわねぇ……はあ」


 さて、早速真弥の持ってきてくれたゼリーを皆口にし始めていた。

 子どもたちは一様にほっぺたが落ちそうなくらいおいしいよ〜とばかりに笑顔である。

 冬弥もしきりに感心しながら、味を楽しんでいる。

 成人男性一人というのは少し居心地は微妙であったが、それを置いておいても楽しめる味だったので驚いていた。

 そして、どうやら料理関係は得意そうな佐理奈は興味をそそられて、真弥とレシピの内容などの話で花を咲かせている。

 ちょっとここまでの物は自分は作れないと理解している一葉は、すごくおいしいだけに逆に悲しそうだった。

 しかも見たところ、お母さんズの中では料理レベルは最下位ということもわかってしまっただけにその悲しみは深かった。



「ふふ、喜んでくださってよかったです」


 さて、真弥と一緒に楽しく作り上げた自信作が好評で秋子もとても嬉しい様子。

 しかし――


(でも……こんどはお気に入りのアレを入れたいですね)


 ビク


(何? ……今の寒気は?)

(何だ? この感覚は?)

(う〜、なんだかいやな予感がするよ〜)


 ――秋子の心のうちでは、一葉、祐一、名雪の共通の恐怖の対象――オレンジ色の不思議なジャムが思い描かれていた。



「あらあら、三人ともどうしたの?」

「な、なんでもないわ」

「そ、そうです!」

「な、なんでもないよ、お母さん」

「あらあら」

「???」


 果たしてわかっているのかわかっていないのか、それすらわからない表情で、秋子は端から見ると変な印象を受ける仕草の一葉、祐一、名雪を心配する。

 それに対して三人とも何かに駆られたかのようにごまかし始める。

 口にしたからといって倒れるわけでもなく、記憶を失うわけでもないジャムだけれど、あのなんとも言えない味は、妙なくらいに三人の深層心理に恐怖を植えつけていた。

 そのあたりの事情はわかるはずのない他のメンバーは不思議そうな様子。

 果たして、彼らが三人の気持ちがわかる日はいつの日のことか…………そう遠くはないだろうが。





「や、やっぱり、おいしいよ〜。イチゴ、イチゴ」

「出たな! イチゴ大魔神!」

「ひどい〜、ひどい〜。イチゴは好きだけど…そんな言い方ひどいよ〜」

「そうですよ!(だよ!)」


 ちょっと現実逃避気味な名雪と祐一。

 でも、名雪は祐一の意地悪で正気を取り戻したのか、祐一に抗議する。

 加えて、大人子どもを問わず、女性陣は名雪に賛同なようで、口をそろえて祐一を非難するのであった。


「?」

「…祐一君、ここは謝ったほうが良いぞ」

「……ごめんなさい」

「あはは」


 そんな女性陣を見て、一弥は話がよくわからず不思議がっている。

 冬弥は逆によくわかるので、祐一に自首を勧めた。

 祐一、多勢に無勢で轟沈。

 皆の笑いの的になったのでした。

 相手が子どもたちだけならば、祐一の勝利であったろうが……勝敗はどちらにせよ、和んだ雰囲気を素で作る才能が祐一にはあるかもしれない。

 祐一にとって喜ぶべきかどうかは、時と場合によるであろう能力であろうが。





 さて、ゼリーも食べ終わり、みんな落ち着き始めたころ、一弥はとても楽しそうに口を開いた。


「祐兄さんっ」

「ん、どうした? 一弥」

「やっぱり、祐兄さんの言ったとおり、みんないっしょにたのしく笑ってすごすってとってもいいことだね。ぼく、今とってもうれしいよ!!」



 にこ



「………」


 曇りのない、子どもらしい純粋な気持ちで、心から嬉しさをあらわす一弥の笑顔。

 その笑顔を見た祐一たちは、皆一様に息を呑みながら、済んだ思いが胸に溢れてきて微笑んでいた。


 この笑顔は――

 数々の不安をこれまでも今も抱えている少年にも、心からの安らぎを

 この笑顔を見ることのなかった父親には、それが見れたうれしさとこれまでの自分の寂しさへの理解を

 夫と同じ思いの母親にも同じ嬉しさと、知らなかった自分にとって大切な宝に気づくことを

 ずっと我慢してきた姉には、気づいた己の間違いの確認と、願いの成就とそれをなしてくれたものへの感謝を

 その親友には、この子の本当に嬉しいという気持ちの実感を

 もう一人の親友には、大切な親友にちゃんとお返しをすることができたのかなという喜びを

 二人の娘の母親は、この輪と笑顔の意味を

 少年の母には、この子と同じ歳のころの少年とのはるかな思い出と、今回自分が行ったことの意味を

 少年の叔母には、この笑顔の大切さを

 その娘には、自分も家族と共にあることで知っているあたたかな気持ちを

 ――教え、与えてくれていた。
 

 見るものの立場はそれぞれ、けれど、全てに共通して言えることは――


 この笑顔を見れて良かった


 ――ということ。



















 ただ――



(でも…とってもかわいいです! 宝物としてしまっておきたいくらいですよ!!)

(可愛い……あたしも……弟がほしくなってきたよ)

(う〜ん、佐祐理の弟じゃなかったら、もっていっちゃっていたところだねぇ)

(う〜かわいいよ〜。だきしめたいよ〜)



 少女たちはこんな感じ。



(決めました。絶対この子を幸せにして見せます!)

(う〜ん。ほしいわね。もう一人だんなと…ぽっ…)

(かわいいです。どうしましょう? このまま、幼稚園のお手伝い、続けちゃいましょうか?)

(これは参ったわね。男の子もほしくなっちゃった…)



 母親たちもこんな感じ。



 どうやら年齢にかかわらず、母性本能を直撃されてもしまったようである。






「な、何が起こっているんだ?」

「???」

(ふむ、たまらないのだろうな…女性たちに今の笑顔は)


 最初は皆一緒に澄んだ瞳だったのに、いつの間にか女性たちがとろけそうになっている様子の表情を浮かべているので、祐一はわけがわからず戸惑っている。

 原因たる一弥は何がなんだかさっぱりわからない様子。

 そして、唯一わかってしまった大人が一人。



「よくわからんが……まあいいや。でも、本当によかったな、一弥。俺も本当にうれしいぞっ」

「うんっ!」

(うん、当たり前に思える幸せ……これが俺の大好きなもの、何があってもこれはかわらない……よな)


 当たり前……それがどれほど脆いものか、気づいたときに初めてわかった大切なもの。

 けれど、どれだけ望んでも守りきれなかったもの。

 それをここに積み上げることができたことがわかった祐一は、悲しみをこえ、何かをひとつ成し遂げた満足感を持つことが出来た。

 その裏にどんな意味が込められていようとも……この一時は祐一は素直にその気持ちで心を満たしていた。

 彼の表情に、その気持ちが表れてくる。

 一弥と同じ純真な嬉しさと、全てを慈しむかのような澄んだ思い。

 その二つの思いが、彼に微笑みを浮かべさせる。

 
(祐兄さんの笑顔、ぼく、とっても好きだよ)

(祐一君…君は……いったいその小さな体で……どんな経験をしていたというんだい?)


 一弥は祐一のその微笑みを見て、よくはわからないけれど、それがとっても大好きになれるようなあったかいものだと感じていた。

 その職業柄、人の表情にある様々な感情を多少は読める冬弥は感動と衝撃で身が震えていた。

 幼さを感じさせながらも、その内にある深き思い。

 幸福やあたたかさや悲しみや不安や疑念、人の様々な感情の果てにあるのではないかと思わせるような底知れぬ奥深さを垣間見た気がした冬弥は、そうそう出会えることは叶わないような類の人物を目の当たりにしたようだった。

 しかし、目の前の人物は九歳の少年。

 そのことが更に冬弥を当惑させる。

 その意味でも、また、今回の行動にしても疑念の尽きない少年であることを冬弥は再確認する。

 しかし、そんな少年でありながら、信じるに足る人間であると、この表情は思わせるのだから、凄いものだと冬弥は感心していた。


(魅入られているかもしれないな、この少年に……だが、彼は感謝すべき人物だ。それにこの表情を見ていると……大人として助けねば……という気もしてくるのだから、本当に不思議な少年だよ、ふふっ、どうやら私はこの子をかなり気に入ってしまったようだな)


 冬弥はいろんな思いを抱きながら、再び祐一に目を移す。

 そして、助けの要る若者としても、頼りになる人としても、これからずっとこの子を見届けていきたいとますます思ってしまっていく自分に苦笑しながら、冬弥は最初に受けた衝撃から緊張が解けていくのを感じていた。














「ん?」


 すると気づいたことがあった。

 そういえば、何か忘れているような気がしていたがと思っていたがこういうことかと、冬弥は破顔一笑する。

 彼が気づいて目を向けた先には――



「………きゅう。 (祐一くん……わたしは……佐祐理は…もうだめです)」

「………パタン。 (祐一………もう……だめ)」

「………コテン。 (この前耐えたんだから……今日はいいよね……)」

「………うにゅ。 (こんな祐一はじめてみたよ〜。祐一…やっぱり…わたし…)」

「やっぱり、祐一が一番かな……」

「…祐一さん…将来が本当に楽しみです……」

「これは……強力ですね」

「あらら……前以上……」



 ――冬弥の感じた衝撃だけでなく、女性ならではの衝撃をくらっている女性陣がいたのだった。

 祐一と同年代の少女たちの彼の微笑みの感じ方は、一弥と最初は同じである。

 しかしながら、彼女たちには祐一への好意という強力なスパイスが存在している。

 名雪や舞、幸に関しては、祐一への思いがどんなものか、いまさら説明はいらないだろう。

 佐祐理は出会ってからの時間こそ短いものの、自分を諭してくれた真摯な祐一、両親に向かい合っていた頼もしい祐一、そしてこの微笑み。

 短期間にこれだけ魅せられたら、逆に参ってしまうとも言えよう。

 なお、幸は前回の夢とは内容はちょっと違うけど、自分の気持ちに今回は抗いたくなかったようだ。

 少女たちは頬が赤くなるのが自分でもわかり、どうしようもなくなったのか、座っていたベットに倒れこみ、思考がオーバーヒートしてしまっている模様。
 
 また、今回の場合は喩えるならば、一弥の笑顔と言うクリーンヒットを受けた所に好きな男の子――祐一の微笑みというクリティカルヒットをもろにくらったようなものだから、感情を整えるのは絶対無理と言う状況だったようだ。

 ちなみに、お母さんズは概ね冬弥のように感じていたのだが、彼女たちにとってもちょっと強力な攻撃だったようである。

 



「なんかさっきより大変なことに……佐祐理さんたちは倒れてるし……いったい何が?」

「どうしたんだろ? おねえちゃんたち?」

(はっはっは、この先、いったいどうなっていくのだろうな?)



 そして、やっぱりわからない子ども二人と、わかってしまう大人一人がそれを見守るのだった。









(……わ、わからんが、佐祐理さんはもう大丈夫だよな? はは……さて……次はあいつか…俺を助けてくれた天野の番……)




 感謝と感動と、にぎやかな楽しい時間、それが祐一に心に刻み込まれる。


 その思いを、どうか確かな礎に
 

 祐一と共に奇跡を担った少女のためにも

















あとがき

 あとがきと言う名の言い訳と言われたりもしますけど、まさしくその通りな自分で申し訳ありません(汗
 演習の報告発表と大学祭の模擬店などで忙しく、時間がなく、空いた時間は他の遊びに逃避(マテ
 更新遅れて本当に申し訳ありません(土下座
 次こそはといいたいところなのですが、来年の卒論にむけての途中報告が微笑んでいるので、厳しいのです(涙
 今の4年生を見ていると来年はわが身ですし……うぐぅ。
 でもでも、次はこの話のもう一人の主役の美汐さんのお話ですから、頑張りますです。
 それでは

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