9/23 了承祭り










1、『始まりは王道で』


 秋子「甘くないじゃ……」
 祐一「さぁ、学校行くか!」
 名雪「うん!」
 秋子「あらあら」






2、『了承一秒、怪我一生』


 名雪「お母さん、このイチゴジャム頂戴」
 秋子「了承」
 名雪「ありがとう」

 真琴「秋子さん、肉まん食べ……」
 秋子「了承」
 真琴「ありがとう!」

 祐一「秋子さーん、これなんですけ……」
 秋子「了承」
 祐一「ありがとうございます」

 香里「秋子さん、この甘くな……」
 秋子「了承」
 香里「い、いえ、そうじゃなくって」
 秋子「了承」
 香里「で、ですから」
 秋子「了承」
 香里「……」
 秋子「了承」
 香里「……はい」





3、『嗚呼、無情なるかな了承』


 栞 「お、お姉ちゃん。ど、どうしたの?」
 香里「…な…わよ……あ…しに……」
 栞 「お姉ちゃん?」
 香里「あたしに名雪なんて親友はいないわよーっ!」
 栞 「お、お姉ちゃん、どこいくの? ねー!?」






4、『真夜中の目撃者』


 ごそごそ

 真琴「すぐ食べられるものがない……真夜中だから秋子さん呼べないし……」
 秋子「どうしたの、真琴?」
 真琴「うわっ!? あ、あ、秋子さん!?」
 秋子「冷蔵庫? お腹が空いていたのね」
 真琴「……う、うん」
 秋子「じゃあ、ちょっと座って待っててくれるかしら? すぐに作るから」
 真琴「うん……秋子さん、あの」
 秋子「何かしら、真琴?」
 真琴「………………ありがとう」
 秋子「ふふ、どういたしまして」






5、『二階からこんにちは』


 十分後

 祐一「あ、とんこつラーメンですか。これ好きなんだよな」
 名雪「私も好きだけど、一番はやっぱりみそかな。あ、祐一、その胡椒取って」
 祐一「ほいきた。真琴、早く食べないと伸びるぞ」
 秋子「いっぱい茹でてますから、どんどん食べてくださいね」
 真琴(……いつも不思議なんだけど、どうしてみんな集まるんだろ……)






6、『ただいまお掃除中』


 秋子「名雪の部屋は終わり、と……」
 秋子「次は祐一さんの部屋ね」
 秋子「でも掃除の前に……」

 床に手をついてベッドの下を覗き込む秋子。

 秋子「……残念」






7、『全ては了承の名の下に』


 名雪「お母さん。お風呂が壊れちゃったよ」
 秋子「あらあら。困ったわね」
 名雪「銭湯に行かないといけないね」
 秋子「そうね。用意しましょうか」
 名雪「香里も誘っていいかな?」
 秋子「香里ちゃんの都合がつけば了承」
 名雪「うん」






8、『あたしの辞書に『了承』の二文字はない』


 名雪「香里ー、銭湯にいこー」
 香里「ずいぶんと突然ね。まあ、いいけど」
 名雪「やったよ〜。あ、お母さんも一緒だけどいいよね?」
 香里「……」
 名雪「香里?」
 香里「……えっと、都合が……」
 秋子「了承」
 香里「都合が……」
 秋子「了承」
 香里「っ……」
 秋子「了承」
 香里「……わかりました」






9、『銭湯にて』


 名雪「香里、香里。背中洗いっこしよー」
 香里「はいはい、わかったわよ」
 名雪「お母さんも、お母さんも」
 秋子「ふふっ、了承」

 わしゃわしゃわしゃ。

 香里「……まさかね」
 香里「そんなこと絶対にありえないとは思うんだけど」
 香里「でもやっぱりそうとしか……」
 香里「ジャムを食べれば若さとスタイルが保てるとしか……思えない」

 視線の先には親友の母親。






10、『了承にも使用の誤り』


 名雪「お母さん。真琴の……」
 秋子「了承」
 名雪「ほ、本当にいいの!?」
 秋子「了承」
 名雪「やったよ!」






11、『了承の後』


 祐一「……んで、秋子さん。アレ、どうしますか?」
 秋子「…………」

 ピロを抱きしめている名雪を目の前にして。






12、『大変ね』


 佐祐理「どーもお邪魔しますー」
 舞  「祐一、いる?」
 秋子 「2人ともいらっしゃい。祐一さんなら2階ですよ」

 秋子 「綺麗な先輩ね」
 名雪 「そうだね……」
 秋子 「名雪もうかうかしてられないわよ?」
 名雪 「な、何のことだかさっぱりわからないよっ」
 秋子 「大変ね」






13、『あらあら』


 栞 「こんにちはっ」
 香里「すいません秋子さん、相沢くんいます?」
 秋子「こんにちは、2人とも。祐一さんなら2階ですよ」

 秋子「最近じゃ香里ちゃんまで参戦したのかしら?」 
 名雪「し、知らないよっ」
 秋子「でもあの香里ちゃんが名雪に会う以外の目的でうちに来るのって……」
 名雪「たまにはそんな日だってあるのっ」
 秋子「あらあら」






14、『まあ』


 美汐「失礼します」
 秋子「あら、こんにちは。祐一さんなら2階ですよ」
 美汐「相沢さん? いえ、私は真琴に会いに……」
 秋子「まあ」

 秋子「でもね、お母さんあの娘も結構怪しいと思うのよ」
 名雪「だからどうしてそれを一々わたしに言うのっ!?」
 秋子「だって名雪ったら同じ家に住んでるのに中々行動を起こさないから心配で……」
 名雪「お願いだから放っておいてよ……」






15、『ささやかな反抗』


 あゆ「秋子さん、ごちそうさまでしたっ」
 秋子「はい、また来てくださいね。今度はタイヤキも作っておきますから」
 あゆ「うんっ!」

 秋子「でね、あゆちゃんは結局祐一さんに会わずに帰っちゃったんだけど、どう思う?」
 名雪「お母さんの料理でお腹壊しちゃったんだよ、きっと」
 秋子「……名雪?」
 名雪「わわわっ、じ、冗談だよ〜」






16、『ため息』


 秋子「そういう冗談は止めて頂戴ね。特に祐一さんの前では」
 名雪「……何ていうかもう、見渡す限り敵だらけだよ……」






17、『遠慮がちな彼』


 秋子「祐一さん、これからはお弁当作りましょうか?」
 祐一「いえ、平気です。佐祐理さんとか、栞とか。多目に作ってくれてるみたいで」
 秋子「それなら、何か欲しいものとか。例えば携帯電話とか、必要ありません?」
 祐一「特に欲しいとは思わないですけど?」
 秋子「そ、そうですか……。じゃあ、せめて夕飯を奮発しちゃいましょうっ」
 祐一「あははっ、普通でいいですよ。秋子さんの料理は全部美味しいですから」

 秋子「……ねえ、名雪。祐一さん、わたしのこと嫌いなのかしら?」
 名雪「そんなことないんじゃないかな♪」
 秋子「……何だか嬉しそうね」
 名雪「そ、そそそそそそんなことないよっ」






18、『意地悪な彼』


 名雪「ねえねえ、祐一。明日からわたしがお弁当作ってあげようか?」
 祐一「朝起きられないくせに何を言うか」
 名雪「そ、それならほらっ、何かプレゼントするよ。欲しいものとかない?」
 祐一「誕生日でもないのに、どういう風の吹き回しだ?」
 名雪「う〜。だったらせめて夕飯一緒に外で食べよ? わたしが奢るからさ。ね?」
 祐一「秋子さんに心配かけるだろ? そもそもここら一帯で秋子さん以上に美味い店なんてあるのか?」

 名雪「……」
 秋子「な、名雪っ。負けちゃダメよっ」
 名雪「……」
 秋子「ほらっ、イチゴジャム持ってきたからっ」
 名雪「……いらない」
 秋子「ち、ちょっと、名雪っ!?」
 名雪「もう寝るから」
 秋子「名雪っ? 名雪ってばっ」
 名雪「明日はぜーーーーーったいに早起きするのっ!」
 秋子「それこそ絶対に無理だと思うけど……な、何でもないわよ? おやすみ名雪」






19、『家族ですから』


 祐一「すー、すー」
 秋子「……」
 名雪「……」
 祐一「くー、くー」
 秋子「……家族として見られていることを喜ぶべきか、女として見られてないことを悲しむべきか」
 名雪「……判断に迷うところだね」

 珍しく川の字になって寝る3人。
 気持ち良さそうに眠る祐一。






20、『とりあえず』


 秋子「寝顔だけでも堪能しておきましょう」
 名雪「そうだね。徹夜上等だよ」






21、『おでん種の逆襲』


 真琴「ゆーいちっ。一緒に寝よーっ」
 祐一「わ、わかったからパジャマのボタンくらい閉じろ!」
 真琴「あぅ?」
 祐一「ほらっ! ……ったく、もう」
 真琴「んー、いいからもっとそっち寄ってよ」
 祐一「あ、あんまり引っ付くなって……」
 真琴「しょうがないでしょ。せまいんだもん」
 祐一「しかしだな、その背中に胸が……」
 真琴「え、なになに?」
 祐一「な、何でもないっ」

 名雪「あれはあくまでも同じ布団で寝てるから祐一が反応してるのであって、
    別にわたしの身体に魅力がないとか、あまつさえ女として眼中にないとか、
    そういうことじゃないはずだよね。
    でも個人的にはいくらかお腹に据えかねるものがあるんだけどお母さんはどう思う?」
 秋子「了承」






22、『秋子ルート』


 秋子「……」
 秋子「……」
 秋子「……」
 秋子「……これは一体どういうことなんでしょうか」

 PS2版『Kanon』をプレイした直後。






23、『論点の相違が見られます』


 名雪「香里、たまにはうちに遊びにおいでよ。栞ちゃんも一緒に、ね?」
 香里「そうね……最近そういうことってなかったもんね。
    良いんじゃない? 秋子さん次第だけど」
 名雪「お母さんならきっと歓迎するよ」
 香里「まあそれはそうだけど、私が言いたいのはそういうことじゃなくて……」
 名雪「あ、お母さんだ。お母さん、お買い物?」
 秋子「名雪、今帰りなのね。今日は肉じゃがと大根の餡かけだから楽しみにしててね」
 名雪「うん! ……あれ? その菜の花ともやしは?」
 秋子「これ? ちょっと試してみようと思って」
 香里「…………」






24、『無自覚、故に無頓着』


 名雪「??? あ、そうだ。お母さん、今度うちに香里呼んでもいいかな?」
 秋子「ええ、いいわよ。遠慮しないでいつでも来てね」
 香里「え、あ、まあ……そのうち……」
 名雪「ね? 言ったとおりでしょ?」
 香里「ええ、そうね」
 秋子「じゃあ、私は先に帰るわね。香里ちゃん、またね」

 秋子が去って

 香里「……名雪」
 名雪「なに?」
 香里「やっぱりもうしばらく行けそうにないわ」
 名雪「え?」






25、『甥が来る前には』


 祐一「なあ、俺が来る前はどうやっておきてたんだ?」
 名雪「ちゃ、ちゃんと起きてたよ。遅刻はしてたけど」
 祐一「どうやって起こしてもらってたんだ?」
 名雪「え、えっと……わからないよ」






26、『甥が来る前には ver 体力』


 秋子「名雪、起きなさい。遅れるわよ」
 名雪「くー……」
 秋子「名雪」
 名雪「くー……」
 秋子「あらあら、困ったわね」

 おもむろに名雪の頬に手を伸ばして

 名雪「くにゅにゅにゅ……うにゅ?」
 秋子「起きた? 遅れるわよ」
 名雪「起こしてくれてありがとう、お母さん。でも、この手は何?」

 頬を引っ張られながら






27、『甥が来る前には ver 知力』


 じりりりりり

 名雪「うにゅ、朝……って、わわわ! まだ六時だよ! わたしこんなにはやく起きられたんだ」
 秋子「つまり、四時に目覚ましをセットすればいいのね」
 名雪「え? どういうこと?」
 秋子「なんでもないわよ」






28、『甥が来る前には ver 根性』


 秋子「名雪、起きなさい。遅れるわよ。名雪」
 名雪「くー……」
 秋子「起きなさい。遅れるわよ」
 名雪「くー……」
 秋子「起きなさい」
 名雪「くー」

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29、『甥が来る前には 最終章』


 祐一「大変だったんですね……」
 秋子「ちょっとだけですけどね」
 名雪「うみゅ……そんなに寝坊さんじゃないよぉ……くー……」
 祐一「……」
 秋子「……」
 祐一「じゃあ、俺が」
 秋子「お願いしますね」






30、『ちょっとした秘密』


 秋子「あれから、もうこんなに経つんですね」

 けろぴーを修繕しながら

 秋子「ふふふ、あなたの選んだぬいぐるみ。ちゃんと気に入ってますよ。ねぇ」






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